ディズニー好きの方にとっては常識といえる存在ですが、ディズニーランドに一度も足を運んだことがないという方でも「スペースマウンテン」というアトラクションのことはご存知ではないでしょうか?
スペースマウンテンとは
ディズニーランドでも屈指の人気アトラクション
東京ディズニーランドの東側、トゥモローランドの一角に佇む近未来的なドーム型のデザインが施されたスペースマウンテンは、1983年の東京ディズニーランド開園と同時にスタートしたアトラクションです。人気に陰りが見えてくると運営を止め、別のアトラクションへのリニューアルを行うことも多い東京ディズニーランドにおいて、開園から現在まで一貫して運営を続けている唯一のアトラクションという事実からも規格外の人気を誇っていることが分かります。休日ともなると100分以上の待ち時間が必要となることも当たり前で、ディズニーランドにおいて欠かせない存在として君臨しています。
スリル満点のコースター型アトラクション
スペースマウンテンは、宇宙飛行士となって小型のロケットに乗り込み、大気圏からの脱出を期にコースターがハイスピードで急上昇・急旋回・急降下するジェットコースタータイプのアトラクションです。内部は真っ暗になっており、どこに進んでいくのかもほとんど分からない状態であることからスリル感が強く、東京ディズニーリゾートの全てのアトラクションの中で最も怖いと評価するファンも多いようです。
そんなスペースマウンテンには、「重量オーバーすると別のコースに回されるらしい」という噂がまことしやかに囁かれています。果たして限られた空間の中で「デブ専用」とも言えるコースなど本当に存在しているのでしょうか?知っているだけでも豆知識として生かし、次回のスペースマウンテンを何倍にも楽しむことができそうなこの噂について詳しく調べてみました。
体重オーバーで別コースに行くというのは本当?
スペースマウンテンには体重計がある?!
ディズニーリゾートの一般的なアトラクションと同じように、スペースマウンテンには安全バーが個別に設置され、搭乗した全員が安全バーを下ろさなければ出発が許されることはありません。車体が動き出す前にキャスト(係員)によって安全バーの状態は綿密に確認されるのですが、他のアトラクションとは違い、スペースマウンテンの場合には出発して数メートル進んだ段階でもう一度車体が止まり、最終的な確認が行われます。
大半の方が「激しいアトラクションだから、きっと安全バーをもう一度確認してくれているんだろう」と考えるこの最終確認ですが、ここで見られているのは安全バーではなく、実は「総重量」だったのです。ストップした位置にはなんと体重計が設置されており、一定の重量をオーバーしていないかどうかが危機管理の一環としてチェックされ、安全上問題の無い数値に収まっている場合にのみ通常の走行が許可されるという仕組みになっているのです。
既定の重量をオーバーした場合にはどこに向かって走るのか
そこで問題になってくるのは「規定された重量をオーバーしていた車体はどうなるのか」ということです。安全上問題があると判断された車体をそのまま通常のコースに乗せて走らせるわけにはいきませんし、かといってすぐ後ろには数台の車体が待機していますから、バックして戻るというわけにもいきません。そこで登場するのが「別コース」です。
通常に走行できる車体は、重量のチェックを受けた後に右側のコースに進んで予定通りに動き、3分ほどの宇宙旅行を楽しんで終着地点に戻ってきます。その一方で、重量をオーバーした車体は左側のコースに進み、スリル感のあるコースを走行することなく車庫にたどり着き、その場で下ろされることになります。スペースマウンテンの別コースは都市伝説などではなく、本当に存在していることがわかりました。
別コースに進んだ人はその後どうなるのか?
重量オーバーによって別コースを走行し車庫にたどり着いた後は、そのままキャストの誘導に従って徒歩で搭乗口にまで戻り、最優先で別の車体に乗り込むことを許されます。再び長蛇の列に並び直さずに済むということは、ディズニーのホスピタリティの基準としては当然のことなのかもしれませんが、我々にとってはありがたい話ですね。
この際には、また同じ組み合わせで乗り込んでしまうと別コースに進むことが確定してしまいますから、その場に並んでいた他のお客さんとミックスされ、重量制限内に収まるように考慮してもらえるので、二度続けて別コースを辿る可能性はほぼゼロと言えるでしょう。
別コースに進む確率はどの程度?
重量オーバーとなる基準の数値は明らかにされていませんが、一説によると「合計で1,000キロ以上の重量になると別コースに回される」と言われています。仮にその説が正しいとすれば、スペースマウンテンの定員は最大12名ですから、車体の重さが150キロと仮定すると、1人あたりの体重平均が約71kgをオーバーすると別コースに進むことになります。
車体に乗り込む前には、キャストによって目視で複数の車体に振り分けられますから、比較的体重の軽そうな方や子供をミックスすることによって重量制限を超過する確率を減らしているようですが、体重100kg以上のペアが複数乗り込んだ場合には意外と簡単に重量制限をオーバーしてしまいそうです。極端な例ではありますが、仲良しのお相撲さんが4人組以上で一台のスペースマウンテンに乗り込むことはなかなか難しいのかもしれませんね。
スペースマウンテンの不具合による死亡事故はゼロ
スペースマウンテンにまつわるもう一つの都市伝説
実はスペースマウンテンには、別コース意外にももう一つ有名な都市伝説があります。それは「スペースマウンテンの内部にはお札がびっしりと貼られている場所がある」というもの。実は1984年と1987年に、スペースマウンテンに乗り込んだ方が亡くなるというアクシデントが起こっており、その事実がこのような都市伝説を生んだと考えられています。
この事故で亡くなった二名の死因は「急性心不全」と「脳溢血」であり、アトラクションの不具合や問題によって起きた事故とは考えられていません。何らかの不具合が発生した場合にはコースターは安全な場所で停車し、場内はライトで照らされ、乗り込んでいたゲストは非常口にまで安全に誘導されるのですが、この際に「お札の存在を確認した」という方は一人もおらず、お札の存在はデマということが分かっています。
1987年以降は死亡事故そのものがゼロ
このような痛ましい事故を教訓としたためか、1987年の死亡事故以来、東京ディズニーランドのスペースマウンテンにおける死亡事故は1件も発生していません。その背景には重量オーバーによる別コースの存在があることは間違いなく、心臓病や高血圧などの持病を抱える方や、首や頸椎に障害がある方、さらに妊婦さんなどに利用制限が設けられていることも深く関与しています。
2003年には脱輪事故を起こしていますが、ここでも大事に至ることはなく、当該車両に乗車していた12名全員が怪我をすることなく脱出に成功しています。
スペースマウンテンはどんなに体重がある方でも安全に楽しめる仕組みがあちこちに散りばめられていますから、東京ディズニーランドを訪れた際には是非とも足を運んでみてくださいね。
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