人間は朝になれば目が覚め、夜になれば眠くなります。これは人に体内時計が備わっているからです。お腹が空くのも体内時計によるものです。体内時計は1日周期で体のリズムを刻んでおり、意識しなくても眠くなったり、目が覚めたり、お腹が空くように出来ています。体内時計が正確に働いていれば健康でいられますが、体内時計が乱れると体調も悪くなります。そして、この体内時計を味方につければ、ダイエットも成功しやすくなるのです。
体内時計とは?
脳の視床下部にある視交叉上核(しこうさじょうかく)という部位に、人間の体内時計の中心となる部分があります。1日24時間の周期を刻んでリズムを作り出しているのが、視交叉上核になります。また、この24時間の周期を日周リズムやサーカディアンリズムと呼びます。そして、体中のほとんどの臓器にも体内時計が備わっており、脳の体内時計から出される指令を受けてリズムを刻みます。
実は、体内時計にはサーカディアンリズムの他にも、週内リズム、月週リズム、年周リズム(季節性リズム)、90分リズム(ウルトラディアンリズム)があります。血圧の変動は、週内リズムに従っていると言われています。月週リズムは女性ホルモンとの関わりが深く、この周期でホルモンの分泌が調整されます。春に眠気が見られたり、秋に食欲が増加するのは、年周リズムが関係しています。眠りのサイクルや集中力が続く時間は、90分サイクルと関係があります。
5種類の体内リズムがあるわけですが、食欲に大きな影響をもたらしているのが日周リズムになります。ですが、この日周リズムは実を言うと24時間の周期ではなく、実際には25時間を1日の周期としています。地球の1日の周期と体内時計では、1時間の差が出来てしまうのです。このズレがつづけば、日を追う毎にどんどん差が広がってしまうわけですが、そうならないのには理由があります。例えば、太陽の光です。太陽の光を浴びる事で、このズレを修正し、体内時計をリセットしてくれているのです。
体内時計と内臓の働きの関係
ダイエットをするなら、内臓の働きを知っておく事で、より効率的に痩せられます。
まず肝臓ですが、肝臓は朝に活発に働き、11時頃にピークを迎えます。肝臓は、栄養素を分解、合成したり、有害なものを解毒したり、コレステロールを排泄するといった機能があります。肝臓が活発に働く時間にしっかり栄養を摂り、夜は休ませてあげるべきなのです。
胃は午後になると活発に活動を始めます。12時頃から代謝が始まり、13時以降にピークを迎えます。胃には食べたものを一時的に蓄えたり、胃液と混ぜて消化したり、殺菌する作用があります。主にたんぱく質を消化する気管でもあります。胃も21時以降は活動が衰えますので、この時間からは休ませてあげます。
膵臓の働きも夕方がピークになりますので、夜は休ませるのが正解です。膵臓は消化を助けたり、血糖値のコントロールをする働きがあります。
そして、夜は腎臓の働きが活発になります。腎臓は老廃物を尿として体外に排出していますので、機能が低下すれば体内に老廃物が溜まってしまいます。
内臓の働きを考えると、朝にたんぱく質やビタミンなどの栄養をしっかり摂り、夜9時以降は食事を止め、各臓器を休める必要があります。栄養を吸収する臓器が活発に働く朝から昼間にかけて栄養を摂取し、各臓器の機能が落ちる夜には休ませてあげる事で、ダイエットにもプラスに働きます。朝食を抜いて夜食や間食を増やせば、ダイエットに悪影響を及ぼします。
体内時計を利用したダイエット
体内時計の日周リズムを味方につけるならば、1日に3食しっかりと食事をすることです。特に朝食で炭水化物やたんぱく質を摂ると、体内時計もリセットされやすくなります。脳は朝日を浴びる事で体内時計がリセットされますが、内臓は朝食を摂る事でリセットされます。
出来れば朝7時迄には起きて、1時間以内に朝食を済ませるようにします。たんぱく質は脳のエネルギー源ともなる糖質や酵素の材料でもあるのです。たんぱく質が不足すれば、栄養が足りないと体が勘違いしてしまうので、昼食や夕食で脂肪を必要以上に取り込んでしまいます。
12時には胃の働きが活発になりますので、朝食同様たんぱく質を積極的に摂取するのがオススメです。効率良く代謝もアップします。ランチはボリュームあるものを食べても問題ありません。
午後3時は太りにくい時間になっているので、おやつを摂っても大丈夫な時間帯です。この時間は、膵臓の働きが活発になる時間でもあります。膵臓が活発に働く時間帯はインスリンが分泌され、血糖値を下げてくれます。
夜9時を過ぎてしまったら、アルコールや脂質を控え、軽い夕食で済ませると良いでしょう。夜遅くなれば、代謝が悪くなり、体内にも溜め込みやすくなります。痩せたいのであれば、寝る2時間前迄には食べるのを止めましょう。
寝る前の食事は血糖値が上がり、成長ホルモンの分泌が抑えられます。成長ホルモンは代謝を活発にする働きがあり、ダイエットにも欠かせません。ですから、代謝が落ちると太りやすくなるのです。夜10時迄には食事を終わらせるのがベストです。
ダイエットの為だけでなく、健康の為にも早めに夕食を摂って、肝臓や膵臓も休めてあげましょう。
ダイエットに関わりのあるBMAL1(ビーマルワン)って何?
痩せたいと思っている人に是非知っておいて欲しいものがあります。それがBMAL1(ビーマルワン)です。ビーマルワンは、時計遺伝子の中で最も肥満に関わりがあると言われている遺伝子なのです。ビーマルワンはたんぱく質の1種で、脂肪の合成を促進したり、体内に脂肪を蓄積させる働きを持っています。
太らせる遺伝子、つまりビーマルワンが多くなる時間帯は、太りやすい時間帯となります。ビーマルワンは22時から深夜2時にかけて増加する為、この時間に食事をすると、非常に太りやすくなります。15時頃には最も減少するので、痩せやすい時間帯となります。
規則正しい生活をしていれば、体内時計も毎朝きちんとリセットされるので、問題ないのですが、不規則な生活をしている人は要注意です。夜更かしをしている人や昼夜逆転の生活を送っている人は、ビーマルワンが多いままになってしまう事もあります。特に深夜寝ずに働いている人は、肥満傾向にあるというデータもあるのです。
痩せたい人は、朝早く起きて夜早く寝るという習慣が最も重要になってくるのです。規則正しい生活を送るには、睡眠も非常に大切な要素になります。
ダイエットには睡眠も大事?体内時計と睡眠の関係
体内時計が崩れてしまうと、ダイエットにも良い影響を与えません。痩せたいのであれば、体内時計を整える必要があります。25時間の体内時計を24時間のリズムに合わせるには、毎朝体内時計をリセットします。起床や睡眠にはメラトニンという脳の松果体から分泌されるホルモンと深い関係があります。メラトニンの分泌量は光によって調整されています。
朝、起きる時に太陽の光を浴びれば、それが体内時計をリセットしてくれます。また、夜遅くまでパソコンや携帯の画面を見ている人は、画面から出ている光が太陽の光と同じように体内時計をリセットする働きをしてしまうのです。この光は、正常に働いていた体内時計を破壊してしまいます。就寝前はパソコンや携帯、テレビの画面から離れて、光を浴びないようにしましょう。
朝食を抜いて、夜9時以降に食べまくっていると、どんどん脂肪がついてしまいます。夜遅くまで起きていたり、不規則な生活で体内時計が乱れていると、痩せる体質にはなれません。体の中から痩せる体質を作らないと、無理矢理ダイエットしても効果が現れにくくなります。まずは太りやすい生活を改善し、体内時計を味方につけて健康的に痩せてみませんか。
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