妊娠中のOKとNG!体重管理で覚えておきたい7つのこと

妊娠中は赤ちゃんがお腹にいるわけですから、赤ちゃんの分、体重が増えるのは自然なことです。ですが、妊娠中に体重が増え過ぎると、出産にも影響を及ぼすことがあります。お母さんは赤ちゃんのためにも、妊娠中の理想的な体重の変化を知っておきましょう。今回は妊娠中の体重や妊娠中のダイエットについて、まとめました。

妊娠中の適正体重

妊娠中の適正体重はどのくらいなのか

妊娠中の体重の変化は、赤ちゃんの体重がプラスされます。ですが、赤ちゃんの体重だけが増えるわけではありません。出産時には赤ちゃんの体重が2.5kgから4.0kgあります。その分、妊婦さんの体重は増えるわけですが、それに加えて胎盤の重さが約0.5kg、羊水約0.5kg、血液約2.5kg、子宮と乳房1.5kgの増加があります。また、妊娠によってホルモンバランスが変化して脂肪が増え、水分が蓄積します。個人差はあるものの、BMI値が18.5〜25未満の標準体型の方でも、一般的に妊娠中は約7kg〜10kgの体重が増加します。BMI値が18.5未満の痩せ型の妊婦さんは妊娠中、9kgから12kgの体重増加が推奨されています。BMIが25以上の肥満体型の方は、増加する体重5kg以内を目標にします。

また、妊娠3ヶ月目の8週から20週までは、体重にそれほど大きな差は見られません。しかし、妊娠20週目以降から大きな変化が見られるようになります。20週以降は臨月が近づくにつれて、体重が増加する傾向にあります。妊娠中期になると悪阻も治り食欲が戻ってきますので、体重にも気を遣う時期になります。標準体型と痩せ型の妊婦さんは、1週間あたりの体重増加量は0.3kgから0.5kgになります。

妊娠中に体重が増え過ぎるリスク

体重が増加してしまった場合、どのようなリスクがあるのでしょうか?

妊娠中に潜んでいるリスクとは

難産

太り過ぎは難産のリスクを伴います。産道が脂肪で塞がって狭くなると、赤ちゃんが出づらくなります。赤ちゃんに栄養が多く行き過ぎて大きくなり、赤ちゃんが出にくくなる場合もあります。母親が太り過ぎても赤ちゃんが太り過ぎても、難産を招く恐れがあります。赤ちゃんが出づらくなると、帝王切開になる可能性もあります。

妊娠高血圧症候群

体重が増加すると血流が悪くなります。そうすると、赤ちゃんにも酸素や血液が充分送れなくなってしまいます。臓器の機能を低下させ健康を損ねたり、栄養を充分吸収できないなどの問題を引き起こす可能性もあります。

妊娠中毒症や妊娠高血圧症候群を知っていますか?以前は妊娠高血圧症候群のことを妊娠中毒症と呼んでいました。妊娠中期以後に高血圧や蛋白尿、浮腫のうちの1つ、あるいは2つ以上の症状が現れると、お母さんや赤ちゃんに障害を起こすことが多いため、注意が払われてきました。しかし、医学の進歩によって、お母さんや赤ちゃんに障害を起こす可能性が高いのは高血圧が中心と判明してからは、妊娠中毒症から妊娠高血圧症候群と呼ばれるようになりました。

妊娠高血圧症候群を発症する原因ははっきりとは分かっていませんが、肥満体型の人は注意が必要と言われています。妊娠高血圧症候群は高血圧の状態、即ち、血管に圧力が必要以上にかかっている状態です。血管が細くなり胎盤の機能が低下すると、赤ちゃんに酸素や栄養が届かなくなり、胎児発育不全や胎児機能不全などを引き起こす可能性があります。出産時の酸欠や早産を招く恐れもあります。

妊娠高血圧症候群の中でも妊娠高血圧腎症は、常位胎盤早期剥離が起こりやすいと言われています。常位胎盤早期剥離は分娩前に胎盤が子宮壁から剥がれ、大量出血を起こします。最悪、母子の命にも関わりかねません。

妊娠糖尿病

妊娠の影響によって発症する糖代謝異常の一種で、発症すると様々な合併症を招くリスクがあります。元々糖尿病ではなかった人でも発症する場合があり、肥満の人は、妊娠糖尿病も発症しやすいと言われています。糖尿病は血液中に糖分が多くなっているので、妊婦さんが糖尿病になってしまうと、赤ちゃんにもそのまま糖分が行き、太ってしまいます。巨大児になると、難産になる恐れがあります。また、先天奇形や羊水過多症、出産後に赤ちゃんが新生児低血糖に陥るリスクもあります。

妊娠中の体重増加を抑える方法

妊娠中に体重をコントロールするための方法を紹介します。

①軽い運動

妊娠中は適度な運動をしよう

妊婦さんはどうしても運動不足になりがちです。そこで、軽い運動をする習慣をつけましょう。身体の負担にならない運動は、ウォーキングになります。ちょっと買い物に行く時に歩くだけでも構いません。公園での散歩は気分転換にもなります。安定期に入って体調が落ち着いてきたら、様子を見て行ってみてください。ウォーキングのように軽い運動であれば、16週前でも可能なのですが、体調には個人差がありますので、くれぐれも無理をしないように行いましょう。

②食事

妊娠中はカロリーを抑えた食事にする

妊娠中は赤ちゃんにも栄養が行きますので、お腹が空きます。食べる量は減らさずに、野菜中心のヘルシーな食事に変えてみましょう。肉や魚も脂肪分の少ないものを食べるなど、食事も少し工夫してみましょう。また、調理方法も油を使うのではなく、蒸したり煮たりすることで摂取カロリーが抑えられます。特に気を付けたいのは、カロリーの高いお菓子です。妊娠中はお腹が空いてもむやみに何でも食べるのではなく、低カロリーのものをこまめに食べるようにしましょう。

③毎日体重管理をする

妊娠中は体重管理をしっかりとしよう

毎日自分の体重をチェックすることで、体重の変化が掴めます。毎日決まった時間に体重を測り、体重を把握しましょう。体重は手帳などにメモしておくと、管理しやすいです。毎日体重を記録しておけば、妊娠初期の体重をキープしやすくなります。妊娠初期の体重をキープしておけば、大幅に体重が増加するのを防げます。

妊娠中におすすめのダイエット

①和食ダイエット

妊娠中は和食中心の食事にする

体重の増加を抑えつつも、赤ちゃんの発育に必要な栄養はしっかり取らなくてはなりません。特に、タンパク質、ミネラル、ビタミンの摂取は必要です。そこで、まずは和食中心の食事に変えてみましょう。和食は洋食や中華に比べて油を使わないので、低カロリーです。根菜類などの野菜類は食物繊維も豊富なので、便秘改善にもなります。野菜をはじめ、海藻類、きのこ類を食事に多く取り入れると、摂取カロリーが抑えられます。
また、和食の中でも味噌汁には大豆が使われています。大豆そのものにも栄養は豊富ですが、発酵する過程でアミノ酸やビタミンが生成されます。栄養も吸収されやすくなり、非常に栄養価の高いメニューと言えます。味噌だけでなく、カツオ出汁や具材にもカルシウムが含まれるので、骨粗鬆症を防ぎます。

さらに、効果を上げるには、食べる順番にも気を使うと良いでしょう。最初に味噌汁やサラダを食べることで、血糖値の急激な上昇を抑えられます。一気に血糖値が上がると、インスリンが大量に分泌されます。インスリンは使い切れなかった糖を脂肪に変えて蓄える働きがあります。そのため、最初に炭水化物や甘いもの、油ものを食べるのは避けましょう。

バランスの取れた和食中心の食事は胎児の発達に良いだけでなく、妊婦さんにとっても食べる量を減らさずに過度な体重の増加を抑えられます。妊娠中に無理なく続けられるため、和食ダイエットはおすすめです。

②マタニティヨガ

妊娠中はマタニティヨガをしよう

妊娠中にできる運動としてお馴染みのマタニティヨガは、妊娠中の様々な体調不良の緩和にも繋がります。妊娠中の過度な体重増加を抑えるには、軽い運動も必要です。ヨガは緩やかな動きが多いので、妊婦さんの身体にも大きな負担になりません。

妊娠中には腰痛や便秘をはじめ、むくみ、貧血など、様々な体調不良に悩まされます。ヨガには妊娠中の体調不良を緩和したり、予防する効果があります。呼吸法を習得したり、骨盤や股関節の柔軟性が上がることで、出産に備えた身体作りもできます。ホルモンバランスが整い、精神も安定しますので、妊娠中のストレス解消にもなります。マタニティヨガにはメリットが多く、運動不足を解消できるので、過度な体重の増加を防ぎます。深い呼吸を行うことで代謝も上がるので、旺盛な食欲を抑え、暴飲暴食を防げます。

妊婦さんに危険なダイエット

妊娠中にしてはいけないこと

①断食

妊娠中の無理なダイエットは危険です。特に絶食はNGです。絶食は母体にも赤ちゃんにも危険です。妊娠中は必要な栄養を赤ちゃんにあげなくてはなりません。絶食によって栄養が不足すると、お腹の中にも栄養が行き渡らなくなってしまいます。赤ちゃんが未熟児として生まれる可能性もありますし、様々な合併症のリスクも考えられます。臓器が未発達になると免疫力も低下し、様々な感染症にかかるリスクがあります。また、生まれてきた赤ちゃんが将来肥満児になる可能性もあります。メタボリックシンドロームなどの生活習慣病を引き起こす可能性が高くなるというデータもあります。

栄養バランスが乱れると、母体にも影響が出てきます。産後に骨粗鬆症となったり、産後の回復にも影響を与えます。精神的なストレスになる可能性も考えられます。

②激しい運動

妊娠中だからといって、運動がNGというわけではありません。軽い運動は太り過ぎを防いでくれますし、むくみやつわり、腰痛緩和といった効果も期待できます。

ですが、中には避けた方がいい運動もあります。例えば、ゴルフやテニス、野球など、瞬間的にお腹をひねる運動はお腹に負担がかかります。また、バレーボールやサッカー、バスケのように、転倒したり衝突する可能性のあるスポーツも避けた方が良いでしょう。ボルダリングはマットや安全装置があったとしても、落下して転倒する可能もゼロとは言えません。身体に振動を与えるような運動も避けた方が良いでしょう。パラセーリングやスキューバダイビングもNGです。全力で走るような激しい運動もしてはいけません。

まとめ

妊娠中に体重が増えるのはごく自然な現象です。しかし、太り過ぎてしまうと、様々な問題が起きてきます。あまり神経質になると、それがストレスになることもありますが、毎日体重の管理をしておくと安心です。赤ちゃんのためにも、太り過ぎには注意してくださいね。

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