「パーソナルトレーニング」「コミット」など、ライザップが生み出したと言っても過言ではない言葉。言い換えれば、それだけライザップの存在が衝撃的で、それ故に多くの人から注目を集めた部分もあるでしょう。それまでスポーツクラブといえば基本的には自己責任。入会当初こそトレーナーが説明してくれるものの、あとは基本的に自分のペースでした。ですがライザップでは自分のペースではなく、完全マンツーマン。それがいわゆるパーソナルトレーニングなのですが、ライザップでは筋トレのみで、ランニングやバイクなど有酸素運動は行いません。それまでダイエットと言えば有酸素運動が常識でしたが、一体なぜ有酸素運動がないのか。その点を考察してみました。
トレーニングの難易度を考慮してのこと
筋トレは正しい方法で行わなければ、意味がないとは言いませんが効率が落ちます。体を傷めないように、それでいて自分自身の筋力の限界まで負荷を与える。また、器具も必要になります。自重のみでの筋トレの場合、筋持久力はつくのですが筋肥大を求める場合、どうしても回数をこなさなければならないので時間もかかります。
一方有酸素運動は決して難しいものではありません。それこそ早歩きでも立派な有酸素運動になります。ライザップとしては、有酸素運動は「スタッフがきっちり見てあげなければならないトレーニング」ではないと考えているのでしょう。その点筋トレはギリギリの部分を励ましたり、あるいはアクシデントが無いようしっかりとサポートしなければなりません。
マンツーマン、さらには時間にも限りがあるのです。サポートも不要で、どこででも出来る有酸素運動よりもライザップでなければ出来ないトレーニングを重視するのは効率だけではなく、経済性も考えてくれているのかもしれません。会費を払ってバイクを漕ぐ姿やランニングマシンで走る姿を見てもらうのは費用対効果が良いとは言えません。ですが正しい知識やサポートの必要な筋トレであればお客とて納得出来るでしょう。
トレーニングの考え方
ライザップのダイエットの考え方もあります。それまでダイエットと言えば有酸素運動、食事、そして筋トレ。これらを上手く組み合わせることが良いとされていました。もちろんこの方法は今でも多くの人が効果を得ているダイエット方法でしょう。確かにダイエットとは、いわば脂肪を燃焼して体の外に追い出すことを指しますので脂肪を燃焼させる有酸素運動が効果的とされているのは当然ですが、ではなぜライザップでは有酸素運動を行わないのか。
推測ではありますが、ライザップは長期的な視野を持っているのではないかなと考えます。有酸素運動によって脂肪は燃焼しますが、脂肪燃焼は決して有酸素運動だけで得られるものではありません。筋肉もまた、脂肪燃焼に一役買っているのです。
筋肉の量によって燃焼する脂肪の量が異なるのです。いわゆる「基礎代謝」ですが、人間は睡眠中であっても体はそれなりに動いています。細胞や内臓など、これらがすべて活動しているのです。その際、脂肪も使われますが、どれくらい使われるのかは筋肉の量によって決まるのです。
分かりやすいイメージとして、筋肉の量が多ければ多い程、その分維持するためのエネルギーも必要になるのです。日常生活に於いても軽い荷物よりも重い荷物を持つ方がエネルギーを消費します。筋肉も同じで、筋肉の量が多いと、その分筋肉維持のためのエネルギーが求められるのです。そのエネルギーが脂肪なのです。そのため、筋肉の量が多いと脂肪が燃えやすい体、つまりは太りにくい体になるのです。有酸素運動も脂肪を燃焼しますが、筋肉が増える訳ではありません。脂肪は燃えます。ですが、日常生活の脂肪の燃焼効率は変わりません。筋トレによって筋肉を付けると、運動をしていない時でも脂肪が使われるのです。
ライザップは基礎代謝を高めることで、運動している時以外の時間も脂肪を燃焼させようと狙っているのでしょう。単純に脂肪の燃焼だけを考えたら有酸素運動の方が良いのですが、有酸素運動の場合、あくまでも有酸素運動の最中のみ脂肪が燃焼します。ですが筋トレであればトレーニング中は脂肪は燃えませんが、トレーニング以外の時間で脂肪が使われます。
一日のライフスタイルの中でトレーニングを行っている時間と何もしていない時間のどちらの方が長いのか。ましてやライザップの場合ほぼ二日に一度のトレーニングになりますので、トレーニングしていない時間のことを考えているのでしょう。結果、筋トレの比重を大きくしているのではないかと推測出来ます。
筋肥大の難しさを考えて
筋トレと有酸素運動の組み合わせは実は少々難しいのです。軽くダイエットする程度であればそこまで意識する必要はないのですが、自分自身の体作りを真剣に考えると、細くなりたいのか、あるいはガッチリとしたマッスルボディになりたいのかによって運動の順番も気を付けなければならないのです。
筋肉肥大のメカニズムは次の通りです。まず筋トレによって負荷がかかった筋肉が傷つきます。人間は自然治癒能力がありますが、筋肉としては「この筋肉量では耐えられないから強くならなければ」と思うのです。そのため、負荷がかかった後、休息と栄養を摂取することでトレーニング前よりも筋力がアップするのです。このメカニズムが「筋肥大」と呼ばれているものです。アニメのような話ですが、実際人間でも起きているメカニズムなのです。鍛えれば鍛える程強くなるのはそのためですし、同じ重さで毎日トレーニングしていれば軽く感じるようになるのもそのためです。
ですが、有酸素運動は筋肥大を阻害します。筋トレによって傷ついた筋肉がより強靭に戻ろうとしている最中に有酸素運動を行うと筋肥大を阻害するので筋トレの効果を下げてしまうのです。そのため、細くなりたいのであれば筋トレからの有酸素運動、逞しくなりたいのであれば有酸素運動からの筋トレが良いとされているのですが、ライザップでは筋肥大の効果をより確実なものにするために有酸素運動を行っていないのかもしれません。有酸素運動を混ぜることによって筋肥大を阻害したり、利用者が混乱するのを避けるため、筋トレのみとしているのかもしれません。
我慢出来る時間の問題を考えた上でのこと
トレーニングは有酸素運動であれ無酸素運動であれ決して楽なものではありません。
ではどちらの方が「面倒か」と言えば、やはり時間をかけなければならない有酸素運動です。ダイエットが長続きしない人の特徴として、当初はモチベーションが高くても次第にトレーニングが億劫になってくる点があります。有酸素運動は運動強度そのものは高くはないのですが、時間をかけなければなりません。そのため、「長時間はダルい」との思いから次第にモチベーションが低下して自分に言い訳をして疎かになる…というパターンがとても多いのですが、筋トレの場合短時間です。いわば我慢する時間も短くて良いのです。人間心理を考えた時、長時間我慢するのと短時間我慢するのと。どちらの方がより長続きするのかといえば、やはり後者なのではないでしょうか。ライザップは人間心理の部分も考慮していると思われます。
これらはあくまでも推測ではありますが、ライザップはトレーニングを効率だけではなく、様々な角度から考えた上で有酸素運動ではなく、筋トレによるダイエットをと考えたことが予想されます。
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